ペトラ遺跡(Petra remains)

ペトラ遺跡(Petra remains)
都市の魅力

自然と古代アラブ民族によって造られた古代都市ペトラ。世界遺産にも登録されているこのペトラの遺跡は、ヨルダンが誇る貴重な宝であり、観光の最大の目玉となっているため世界中からの観光客が絶えません。ナバダイ遺跡やローマ遺跡など50以上にも及ぶ多くの見どころがあるため、一日中ペトラの歴史を目で見て肌で感じていると、古代にタイムスリップしたような感覚を味わうことができます。

基本情報

ペトラ遺跡はとても広く、遺跡の数も多いため1日で全て見ることは不可能です。大体2~3日あれば、全ての遺跡をしっかりと見ることができます。数日かけて見る価値がある遺跡なので、滞在期間が長いのであれば是非ゆっくりじっくりと全て見て回ることをおすすめします。有名な遺跡など見どころのみを回る場合は、丸一日あれば見ることができます。ペトラ遺跡は見て回るのにかなりの距離を歩かなければいけないので、動きやすい服装に履きなれたスニーカーで行くことをおすすめします。しかし宗教上、女性は肌をあまり露出しない方が良いので、女性の場合は長ズボンを履く方が良いでしょう。ペトラは夜になると冷え込むので、夏でも羽織るものを持って行きましょう。また、日差しも強いので帽子や日焼け止めも必要です。現地には、アラブ伝統のカフィーヤという頭にかぶる布も4JD程の値段で売っているので、それを購入するのもおすすめです。ペトラは乾燥しているため、一日遺跡を回っていると疲れと乾燥で喉が乾きます。飲料水は、遺跡内だと値段が割高なのでペトラに行く前に買って行くことをおすすめします。

ペトラ遺跡での食事

ペトラ遺跡内には、バシンとナバテアン・テント・レストランの2軒のレストランがあります。しかし、アンマンにあるレストランなどに比べると料金が高いため、ホテルなどに頼んでランチボックスを用意してもらうと良いでしょう。たいていのホテルは頼めば3JD程で用意してくれるそうです。レストランはビュッフェ式で、バシンだと17JD、ナバテアン・テント・レストランが10JDです。バシンでは一品料理を頼むことも可能ですが、サンドイッチが9JD程とやはり少々割高です。

ペトラ遺跡の気候

ペトラ遺跡のベストシーズンは、3~5月の春と10月後半~11月の秋です。夏は日差しが強く、暑いため体力が奪われやすくなります。また、冬は冷え込むだけでなく日照時間が短くなるため、あまりおすすめできません。春は花が咲き、緑もとても美しいため観光客に人気のシーズンとなっています。夏は暑いですが、日照時間が12時間と一年で最も長いシーズンなので、しっかりと暑さ対策をすれば観光することは可能です。

ペトラ遺跡の代表的な観光スポット

ジン・ブロックス

ゲートを通り、まず一番初めに右側に見えてくる四角いブロックのような形の遺跡がこのジン・ブロックスです。ジン(Djinn)というのは、聖霊を表すアラビア語で、聖霊は水のそばに宿るといわれていることから、ジン・ブロックスがあるところには水が流れていたということがわかるそうです。ナバダイの女神ウッザー、主神のドゥシャラー、この二人の娘アラートを表しているともいわれている3つのブロックは、後ろにある岩壁から切り出されたもので方形墓であるとみられています。縦縞模様の彫刻が施されているブロック以外の2つのブロックはサフリージュ(Sahrij/貯水槽)と呼ばれています。

バーブ・アッシーク・トリクリニウムとオベリスクの墓

ゲートからシークに行くまでの道にあるのが、このバーブ・アッシーク・トリクリニウムとオベリスクの墓です。一つの遺跡が二層構造になっており、上がオベリスクの墓、下がトリクリニクムと上下が別の建物になっています。

バーブ・アッシーク・トリクリニウム(下段)

トリクリニウムとは、古代ローマ時代のダイニングルームのことを指す言葉です。今ではうす暗い中に岩の座席があるだけの地味な部屋ですが、死者のための饗宴の儀式が行われていたという意味のある遺跡です。

オベリスクの墓(上段)

外壁部分にそびえ立つ高さ7mにも及ぶ4本の突塔が、エジプトのオベリスクに似ていることからそう呼ばれています。オベリスクの墓の真ん中に掘られている人物の像は、エジプトの女神であるイシス、墓に埋葬されている人など諸説あり、いまだにはっきりとわかっていません。また、ナバタイの王アレタス1世の墓ではないかという説もあります。この墓の中には5つの埋葬穴、外には貯水槽があります。墓の向かいには、オベリスクの墓について書かれた碑文も残っています。

シーク

しばらく歩くと、両側に断崖が迫ってきます。この狭い岩山の裂け目、狭谷の道のことをシークといいます。両側から頭上にせり出している崖の高さは60~100mにも達します。道幅は2~10mほどで、この狭い道を馬車が通ることもしばしば。道の途中には、ナバタイ人がかつてペトラ中心部にある水源地から水を引いていた水路やダムの跡や、神を抽象的に表現した聖石などを見ることができます。

エル・ハズネ

紀元前1世紀にナバタイのアレタス4世によって造られた巨大な墓で、映画「インディージョーンズ最後の聖戦」の舞台としても使われました。アラビア語で「宝物殿」という意味を持つエル・ハズネですが、現地の人々からは「ハズネ・フィルアウン(ファラオの宝物庫)」と呼ばれています。高さ45m、横幅30mの巨大なファサード(建物正面)には、様々な彫刻がほどこされており、見どころが満載です。内部には、壁の縞模様が美しい大広間などがありますが、2013年8月現在は、壁面の落書きが多いため入れません。

ファサード通り

エル・ハズネを抜け、向かって左手から先に伸びているのがファサード通りです。ファサード通りの周りには、岩山をくり抜いた長方形の建物が並んでいます。先程エル・ハズネの説明でも書いたようにファサードとは建物の正面のことで、このファサード部分が沢山並んでいるためファサード通りと呼ばれています。また、ローマ円形劇場の手前にはネクロポリスというそれほど裕福でない人々のための小さな墓地が沢山並んでいる岩窟墓郡があり、40以上の墓が連なっています。ナバタイ人は「死者の魂は階段を伝って天国へ昇っていく」と信じていたため、いたる所に階段状の模様が掘られています。

ローマ円形劇場

この劇場は、紀元前1世紀ごろにアレタス4世によって造られたグレコ・ローマン様式の劇場です。その後、マリクス2世による改装工事やローマ人が行った改修によって、現在の客席約45段、最大8500人収容可能な広さとなりました。しかし、363年に起きた大地震の被害が大きかったため、現在はステージなど様々な部分が破壊されたままの状態で残っています。劇場後ろの岩壁には、遺体を保存するための洞窟がいくつも掘られています。そのためこの劇場は、エンターテインメント用の劇場ではなくアレタス4世が自身の葬儀場として建設したのではないかといわれています。1960年代には、この劇場の発掘中に頭部がないヘラクレス像が見つかっており、現在はペトラ博物館に所蔵されています。

犠牲祭壇

ナバタイ人が神に生贄を捧げたとされる神聖な祭壇です。岩山の頂上の祭壇がある平らな場所は、砂岩を削って平らにして造られたものです。地面に長方形の穴が空いていて、水が溜まっているところは身を清めるなど儀式で使う水を溜める貯水池として使用されていた設備です。祭壇がある場所の真ん中に、出っ張りのあるトリクリニウムがあります。ここには、「アレタス4世とその妻フルドゥに捧げる」という内容の碑文が残されており、血を抜いた生贄を置いていた場所ではないかと考えられています。その目の前にある3段の階段を登ったところが祭壇となっています。儀式の際に神の像が配置された場所で、石版を立てるための溝が残っています。また、その左にある台には円形のくぼみがあり、そのくぼみに生贄の動物が置かれ、その動物から流れ出る血がくぼみに細く彫られた溝を伝って祭壇の下へと流れ落ちるようになっています。
この犠牲祭壇に行く場合はトレッキングすることになります。履きなれたスニーカーにバックパックなどで行きましょう。

王家の墓

宮殿の墓はペトラでも最大規模の岩窟建築です。3階建ての構造になっているため、別名「階のある墓」と呼ばれています。最下段には、ひさしのような構造を有する4つの入口があります。2階には18本の円柱が浮き彫りにされており、ほぼ完全な状態で残っていますが、3階の柱はほぼ崩れ落ちています。これは2階部分が岩を削って造られたのに対し、3階部分はその上に石材を積んで建築されたため3階の方が崩れやすかったからだと考えられます。1階部分には入口が4つあり、全て異なる埋葬室に通じています。

コリントの墓

宮殿の墓の右側にあるのがコリントの墓です。宮殿の墓とコリントの墓は、同じ岩盤を共有しており、隣り合っています。コリントの墓は、エル・ハズネとそっくりに造られた墓で、その名の通りコリント式の円柱が彫られています。詳しいことはわかっていませんが、アレタス2世の宮殿という説があります。エル・ハズネと同時期か、それよりも前に造られたといわれていますが、建設された時期についても詳しいことはわかっていません。

シルクの墓

コリントの墓のさらに右側にあるのが、シルクの墓です。虹の墓とも呼ばれているこの墓は、ファサードの正面が白、灰色、青、オレンジ、ピンク、赤といった鮮やかな色の縞模様が美しいことからこのような別名がつけられています。王家の墓であるといわれていますが、アレタス2世の別宅であったという説もあります。

壺の墓

シルクの墓の右隣には、壺の墓があります。ファサードの頂点に壺が掘られていることからこのように呼ばれています。現地名では「アル・マフカマ」といい、裁判所を意味している名前なのですが、裁判所だったというような証拠品は見つかっていません。現時点では、アレタス4世の宮殿であり家族の墓であるという説や、マリクス2世の墓であるという説が信じられてます。ファサードは古いナバタイ様式で造られており、死者の魂が建物から出られるように上部には穴が開けられています。アーチの奥には部屋があり、罪人が収容されていたそうです。

柱廊通り(カルド・マキシマス)

この柱廊通りは、全長225m、幅10mのカスル・アル・ビントへと続いている通りのことです。通りには、大きな大理石が敷き詰められています。入口付近にあるのは、ニンファエウムという泉の精ニンフを祀る噴水です。191年に設置されたこの噴水は、ジュラシュにあるニンファエウムとまったく同じ年に建てられました。現在はほとんど原型を残していませんが、かつては手の込んだ装飾が施された美しく立派な噴水であったそうです。柱廊通りには、今でも大神殿や有翼ライオンの神殿、市場などが残されており、今は存在しませんがその昔は宮殿もあったとされています。このように柱廊通りには重要な建築物が沢山集まっており、ペトラの中心地となっていたことがわかります。柱廊通りを進むとローマ皇帝トラヤヌスの凱旋門が見えてきます。今では一部分しか見ることができませんが、かつては両脇に塔をもつ巨大な木造の門があり、柱廊通りとその先にあるテメノスと呼ばれる聖域とを分け隔てていました。テメノスとは神や王、長などに捧げられる場所のことで、そこにはペトラで最も重要な寺院の一つであるカスル・アル・ビントが存在しています。

大神殿

高さ18m、縦40m、幅28mで面積は約7500㎡という、ペトラ遺跡で最も巨大な建造物である大神殿です。建物は一階と二階にわかれており、一階は6角形の床石が敷き詰められたテメノスとなっています。二階部分は神殿となっており、そこにあったテアトロンと呼ばれる小さな劇場は今でも綺麗に残されています。この大神殿は、紀元前1世紀にナバタイ人の主要な神殿として建てられましたが、4世紀に起きた大地震により大きな被害を受け、多くの場所が倒壊しました。しかし、その後も修復工事や拡張工事を経て、ビザンチン時代まで使用されていました。

カスル・アル・ビント

ナバタイ人の神ドゥシャラを祀った神殿です。カスル・アルフィラウ、またはファラオの娘の宮殿とも呼ばれています。ペトラ遺跡の中で唯一のナバタイ時代の建物であり、組石構造の建物となっています。オボダス3世によって建てられ、アレタス4世の時代に完成したものと考えられています。4本のコリント式の円柱や、内部に通じるアーチが今でも残っています。遺跡内には、セラと呼ばれる神聖なホールがあり、さらに奥には3つの部屋が存在します。その中でも真ん中の部屋はアディトンと呼ばれる最も神聖な部屋で、神の像が置かれた部屋です。

有翼ライオンの神殿

翼のあるライオンが掘られた円柱が見つかったため、この名前がつけられました。翼のあるライオンは、ナバタイの女神であるウッザーのシンボルの一つであるため、ウッザーを祀るための神殿ではないかと考えられています。しかし、アッラートという女神を祀っているという説もあります。今では、一部の壁や土台部分しか残っていませんが、今残っている部分だけ見ても、この神殿がいかに大きな規模のものだったのかがよくわかります。神殿内は漆喰で派手に塗られていたようです。重要な建築物であることは確かですが、いまだ詳しいことはわかっていません。

ペトラ(ビザンチン)教会

この教会は、元々ナバタイ人の建物だったものを、530年頃に教会として造りかえたものです。火事や大地震による被害を受けたものの、今でも人物や動物、鳥、魚、フルーツバスケットなど様々な図柄が綺麗なモザイク画が残されています。また、四季、海や大地、知恵などを擬人化したモザイク画もあるため、時間がない方は、モザイク画をじっくり見るだけでもとてもおもしろいのでおすすめです。

エド・ディル(修道院)

ペトラ遺跡の最奥にある800段の階段を上ると高さ45m、幅50mというペトラで最も巨大なスケールをもったこのエド・ディルが姿を現します。この遺跡は、ナバタイ人が信仰していたナバタイの主神ドゥシャラーを祀るために造られたといわれています。ファサードはヘレニズム様式、内部の構造はカスル・アル・ビントや有翼ライオンの神殿と同じです。何のために建てられたものなのかはっきりとわかっていませんが、壁に十字架が彫られているということから教会として使われていたのではないかといわれています。

Flight Schedule

From (airport)
To (airport)
検索

お役立ち情報

ANAVISASuica

お知らせ